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榎本 一之; 湯浅 加奈子*; 加藤 順*; 松下 晴美*; 山下 俊*; 伊藤 和男*; 吉田 勝; 前川 康成
no journal, ,
電子線記録システムに適用できる、電子ナノビームによりクロミック挙動を示す有機薄膜の創製を目的に、電子線で酸を発生する分子(酸発生剤)と酸性で発色又は蛍光を呈する環境クロミック分子を含む高分子薄膜について、電子線によるクロミック分子の反応挙動と、電子線描画装置によるナノ発色パターン形成性を検討した。酸発生剤(phenyl-p-toluenesulfonate)存在下、環境クロミック分子であるrhodamine B base (RB)及び4,4'-bis(dimethylamino)benzhydrol(BH)のpolymethylmethacrylate(PMMA)薄膜は、それぞれ、照射線量の増加に伴い560nm及び610nmの吸収が単調増加し赤色及び青色を呈した。このことは、クロミック分子が電子線により発生した酸(H)でプロトン化し、選択的にRB-H体及びBH-H体を与えることで発色したことを意味する。次いで、酸発生効率が高く可視領域の吸収変化が大きく変化したBH/PMMA薄膜の電子線描画装置(50nm径)によるナノ発色パターン形成性を評価した。照射線量10C/cmでの電子線描画後、露光部と未露光部とで色調が変化し、ドットパターンで200nm,L/Sパターンでは100nmの分解能を示す発色パターンが観察された。
前川 康成; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 吉田 勝
no journal, ,
自動車向けの燃料電池用電解質膜は、高いイオン伝導性に加え、引張り強度,含水率抑制,ガス透過抑制等の膜機械特性を同時に満たす必要がある。今回、高いイオン伝導性と膜機械特性を両立させるため、高分子基材へのイオンビーム照射により形成するナノスケール潜在飛跡内の活性点からのグラフト重合を利用し、高いイオン伝導性を担うグラフト層からなるイオン伝導経路と、膜機械特性を担うマトリックス層がナノレベルでそれぞれ存在する電解質膜の作製を試みた。イオン照射におけるイオン種やフルエンスの制御、及び、グラフト重合条件を最適化することで、市販膜であるナフィオン以上のイオン伝導性を示すとともに、線により作製した従来膜と比較して膜機械的特性の優れた電解質膜が実現できることを明らかとした。